因島商工会議所 : 所報INNOSHIMA : 2011年12月号

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所報INNOSHIMA 2011.12月号

平成23年12月号

視察レポート

因島と環境・自然エネルギーを考える

北九州エコタウン・風力発電所視察レポート



 CO2削減や東日本大震災を契機とした自然エネルギーへの期待・関心の高まりを受けて、今後の環境・エネルギー関連政策について、因島に当てはめた時どうだろうか?という視点で議員参与視察研修会が企画されました。

 快晴の9月27日(火)、参加者28名は新幹線小倉駅を降りて貸切バスに乗り、約30分で北九州エコタウンセンターに着きました。

 北九州市が進めているエコタウン事業は、「あらゆる廃棄物を他の産業分野の原料として活用し、最終的に廃棄物をゼロにする(ゼロ・エミッション)」資源循環型社会の構築を図ることを目指しています。平成元年に構想、平成9年に国の承認を受け、約40ヘクタールの敷地に28のリサイクル工場と3つの環境研究施設があります。

 最初に入ったエコタウンセンターには各種パネルやリサイクル製品が展示されており、エコタウン全体の巨大な地図を見ながら事業の概要や施設の配置状況等の説明をしていただきました。

 次にOA機器リサイクル施設に入り、使用済みのコピー機やパソコンの分解・再資源化工程の説明を聞きました。こちらは分解体験ができ、特に小学生に人気とのこと。

 エコタウン最後は、自動車リサイクル施設にはいりました。自動車をラインに載せて、まず手作業によりエンジンやプラスチック等本体以外の部品を取り外し、最後は映画のシーンにあるような圧縮工程は圧巻、バリバリという激しい音とともに約10分で60cm四方ぐらいの鉄の塊になってしまいました。

 リサイクル施設の視察を終えて一行は、バスで約10分の響灘沿岸に立つ風力発電施設に移動。バスの中からは竹とんぼぐらいにしか見えなかった風車は、着いてびっくり、地上100メートルもある巨大なもので、のんびりと優雅に回っているように見えるプロペラの先端スピードは新幹線よりも速いとのこと。発電能力は西日本最大級で、電気は九州電力へ売電。発電量は、10基で年間3,500万kW、1万世帯分の年間消費電力量を供給するとのこと。秒速4メートル以上の風で発電できるそうです。

 環境先進地北九州市は、エコ・コンビナート構想を推進しており、資源・エネルギー利用の「工場内最適化」から「地域最適化」へ都市レベルでの資源・エネルギー消費量の極小化を目指しています。今後とも安価なエネルギーコストによる産業の国際競争力の強化、空洞化対策に寄与し、新エネルギー産業など新たな産業を創出することが期待されています。

 今回の視察では、環境・自然エネルギー関連産業が地域にしっかりと定着し、多くの雇用を生み、着実に歩んでいる姿を見ました。一方造船業界でも既に環境・省エネ対応は必須の技術であり、受注獲得の鍵となっています。幸い因島には、ものづくり技術の蓄積があり、自然エネルギー分野への技術の応用と進出・多角化について考えさせられた視察でした。

            (事務局 田中)

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