いろいろ因島情報
第14回 特集 つれしおの石ぶみ Part.3
因島観光協会だより
第12回・13回に引き続きつれしおの石ぶみの文人・詩歌をご紹介します。桜の名所である因島公園につれしおの石ぶみがありますので、桜と一緒につれしおの石ぶみもお楽しみください。
林 芙美子
海を見て 島を見て
只呆然と 魚のごとく
あそびたき願ひ
小説家で尾道に移住し尾道高女を卒業。因島には特別な縁があり、『放浪記』に記されている。
三好 達治
この浦にわれなくば
誰かきかん
この夕この海この魚
この浦にわれなくば
誰かみん
この朝この艸のかげ
詩人。伝統的詠歎調の詩集『一点鐘』の、この詩を支えた因島の詩情は、当時から変わることなく、確かな島育ちの心根として伝わる。
半田 道玄
大局観
尾道市向島町生まれの棋士。戦前は豪快をもって知られていたが、大局観にのっとった悠悠たる棋風に変る。
村上 元三
源平の弓鳴聞ゆ
むらしぐれ
小説家で、『八幡船』の取材に因島を訪れた際、村上水軍が日本史のロマン源平の時代から、常に歴史の潮流の転換、先駆して勲をたてたことを偲んで詠む。
本因坊 秀策
囲碁十訣
貪れば勝を得ず
界に入りては宜しく緩なるべし
彼を攻むるには我を顧みよ
子を捨てて先を争ふ
小を捨てて大に就け
危に逢えば須らく棄つべし
謹んで軽速なる勿れ
動かばすべからく相応すべし
彼強ければ自ら保て
勢孤なれば和を取る
因島外浦町生まれの囲碁名人。20歳で第14世本因坊跡目になり御城碁において19連勝した。石刻の『囲碁十訣』は秀策の書。
吉井 勇
船工場ある島なれば
夕潮に異國の船も
船がかりせり
歌人・劇作家・小説家で、『旅塵』には因島での歌が多い。
火野 葦平
水軍船出
小説家で、河童を自画像として、因島では村上水軍の出船に乗り組む。
因島観光協会だより 所報INNOSHIMA 2014年4月号