アートギャラリー≪シゲイノイエ≫誕生
~ 各ジャンルの造り手が因島から外へ発信 ~
昨年因島へ移住し、この地で新たに生み出された器を沢山の方々に楽しんでいただければと思い、公民館や企業での陶芸教室、因南中学校の進路学習の講師や各種イベントなど、多くの方にお声掛けいただき参加させて頂きました。「陶芸を通してたくさんの人と触れ合っていきたい」そういう場をいろんな人が提供してくれ、力を貸してくれました。
そしてここ因島に、各ジャンルの造り手の想いが重なり、ギャラリー&ワークスペースとして『シゲイノイエ』が誕生しました。
因島でデザイナーとしてお仕事をしている『プカラス』岡野琉美さんとの出会いはコーヒーカップの制作依頼でした。島で活動されているクリエイターの方に初めて出会いました。大浜の自宅へお客様が作品を見に来て下さることが増え、工房とは別にギャラリースペースになり得る空間を探していました。今はもう使っていない農家の納屋があり、その大家さんが幸いにも因島での活動を知っていただいていたこともあり、「島おこしに繋がる何かの役に立つなら是非!」と快く承諾していただきました。
実際に中を見ると予想より広く、一個人で使う以上の可能性を感じ、デザイナーの岡野さんと、友人でもある『工房一会』の看板を制作してもらった金属造形作家の向井秀史さんに声を掛けました。彼はものづくりが好きで、溶接の技術もあり、彼がつくる作品のファンも徐々に増えています。デザイン・鉄・陶器、各素材からものづくりを通して島おこしに繋がるアプローチになればと思います。
今年の3月から改装を始め、半年を経てのオープン。その間も沢山の方との出会いがあり、繋がりが広がっていきました。内装は作品が映えるよう全て壁には漆喰を塗り、納屋として使用していたオレンジの外観は落ち着いた黒で仕上げました。椋浦で陶芸を一緒にしていた方が40年以上の経験がある左官職人で、壁の塗装などを材料費だけということで一緒に協力していただきました。予算があまりない状況で一からギャラリーを作るのは難問でしたが、それもたくさんの島の人の協力があり、少しずつ形になっていきました。
シゲイノイエをアルファベットにするとSHIGEI‐NOIE。ドイツ語で「ノイエ」とは、光や希望の集合体という意味があります。その意味が示すよう、共に笑い、悩み、夢を語り合える仲間と、これからの未来を創造していきたいです。
1年前ここに来たばかりの頃には想像していなかった自分、誰かが何かしてくれたことは絶対忘れてはいけない。自分の仕事に志を持ち、想いがある行動は振り返った時に成長幅がわかります。「できるのは今しかない!」毎日そう思いながら、中途半端にやるのではなくいつでも本気でやること。このギャラリーを思い返した時、多くのストーリーがあり、たくさんの笑顔が浮かんだ方がいい。作品を作ることが自分の仕事ですが、移住後一年目は島の方とどんどん交流を深め、基盤を作ることに重点を置いてきました。ざっくり自分ができる範囲で一年の計画を決め、そして軸をぶらさない事。ここに作品と想いを発信する場所ができ、これまで以上に作品作りに精進し、因島から外に向かって島の魅力を織り交ぜた作品を発信していこうと思います。
10月からは作品販売スタートです。テレビや新聞掲載の影響もあり、島に興味がある方、逆にシゲイノイエから島に興味を持っていただける方など様々ですが、島外から来られるお客様が多いです。豊かな風土を感じ、島の方に支えられ作陶できることに感謝し、同時にこのシゲイノイエから、新たなものづくりの可能性と、想いが織り重なる繋がりが生まれれば幸いです。
陶芸家 吉野瞬氏の作品
デザイナー 岡野琉美さんの作品
金属造形作家
向井秀史氏の作品
シゲイノイエ・クリエイターチームの作品
※現在「シゲイノイエ」は閉店しております。
陶芸家吉野瞬さんのアトリエは因島椋浦町に移りました。
詳細はこちらから
アートギャラリー Shun Yoshino Ceramic Studio
特集「シゲイノイエ誕生」 所報INNOSHIMA 平成25年10月号