因島商工会議所 : 会員紹介 : さいとう農園

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さいとう農園

No.62 2016年10月

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シマフリルは無農薬・無肥料で
 栄養バランスの優れた未来の野菜

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 仕事内容について教えてください

 ここ広島県因島でしか栽培していない新種野菜シマフリルを、無農薬・無肥料で栽培し販売しています。永年にわたり土壌微生物循環システムを研究してきて、自然の循環を活かした農法で栽培期間中も農薬、肥料等を一切使わずに土壌の健康を管理し、栽培しています。このセイショー式農法は、土壌中に微生物をバランスよく増やしていく微生物有機農法で、農薬を使用しなくても雑草が生えにくく、より手間なく農業に取り組むことができます。

シマフリルについて

 青大葉高菜と日本あざみ菜の交配種で、農林水産省への新種登録も済ませ、特許・商標登録をした新種の野菜です。食料危機を見据えて未来の野菜を作るというコンセプトから、栄養バランスの優れた野菜を開発研究してきました。野菜の最高峰と言われているケールと比較しても食物繊維や鉄・葉酸などがより多く含まれています。味にわさびに似た辛みがありますが後に残らず爽やかで、癌予防に効果的です。わさびを毎日大量に食べるのは難しいですが、シマフリルは食べ方の応用範囲が広く、毎日でも飽きずに食べる事ができます。栄養価が高く油との相性も抜群なので炒め物や揚げ物など、どんな料理にも最適です。シマフリルの別名「緑の葉っぱ なざみちゃん」は、広島県因島でしか栽培されていない事や無肥料・無農薬での栽培等が評価され、「泣ける!広島県」広島県産応援登録商品にも登録されました。

大変なことはありますか?

 これまでにない稀な野菜なので、既成の規格的農産物の流通に乗せられず、販売経路が確立されていません。しかしこの野菜の素晴らしさ、秘めたる力が健康問題や環境問題等を少しでも改善できるのではないかと感じています。

ご自身について教えて下さい

 東京農工大学で環境科学科の土質学を専攻し、土壌に生息する微生物などの研究をしていました。その農工大の同級生が開発研究していた新種野菜の開発・研究を土壌の面からサポートしていましたが、在学中には完成に至らず、卒業と同時に共同研究は中断されてしまいました。卒業後は自衛隊へ2年入り、その後は運輸会社へ勤めていました。大学卒業から22年後、研究を共にしていた友人と偶然にも再会し、彼はシマフリルの栽培研究をまだ続けていたことに驚き、共同研究を再開しましたが、3年後「この野菜をなんとか世に出してほしい」と託され、病気のため亡くなってしまいました。数ヶ月が過ぎても、彼の言葉が頭から離れず、この野菜の栽培は自分にしかできないと決意し46歳で会社へ退職願を提出しました。

因島について…

 栽培を始めるためにあてもなく畑を探し回り、ここ因島外浦町に辿り着きました。因島に来たばかりの頃は、何も持たずに車で畑に寝泊りしていたら最初はお巡りさんと仲良くなりました。栽培するのに忙しくて営業、販売にも行けず、最初の数年は作っては自分で食べて、残りは捨てていました。見かねておにぎりを差し入れしてくれたご夫婦とは今でもお付き合いさせていただいています。本格的に販売しだしたのは2年前のことです。

今後の抱負は?

 因島を無農薬アイランドにしたい。その先頭になるべく、外浦の干拓地の情勢を変えていきたいです。仲間がいれば無農薬の食堂を開いたり、観光農園ができれば人が集まり、サイクリング客も来てくれるようになるでしょう。シマフリルの秘められた本領を発揮させていくために色々な試作をし、製品化、販売をしていきたいと思っています。日本中の方々にシマフリルを美味しく食べてもらう事で、手にしていただいた方々の健康維持のお手伝いができれば幸いです。そして近い将来、シマフリルからバイオディーゼル燃料を製造し、人と地球に優しいエネルギー環境の世の中にしていきたいと考えています。

■事業内容
農業

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会員インタビュー   所報INNOSHIMA   2016年10月号