因島商工会議所 : 会員紹介 : 工房一会

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ひとつの出会いを大切に

~ 作品は人と人を繋ぐもの ~

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IMG_1682.jpg 栃木県の益子で8年間の修業を経て、今年の夏、広島の八丁堀で個展を開いた。その個展に当所の職員が訪れたことが「ひとつの縁」となり、因島に住んで工房を持つことになった。 旧尾道市内には訪れることはあったが、一度も訪れたことのなかった因島。印象は、自然が多く、島と言っても本土との交通が不便ではなく、「ものづくり」にぴったりの環境だと感じた。何よりも海がすぐ見えるというのが気に入った。栃木にも出身地の広島市内にも海が近くになかった。創作というのは、にぎやかな場所よりは、ゆっくりした時間の流れる場所が良い。だから因島で工房を持つことを決めた。
 まずは「住居兼工房となり得る空き家」を探すこと。よそから来た者には、決して簡単ではない。けれども、各方面で顔の広い地元の方々の口利きがあったからこそ、こうして今ここに住むことが出来た。最初はお風呂場に木が生えているような、どうなることかと思った状態の空き家も、さすがは地元の大工さん達。リフォームの際にも、因島の方々の優しさ、暖かさにふれた。



IMG_0889.JPG 美術が小さい頃から好きだった。何か好きなことを仕事にしたくて、芸術系の高校でいろんなことを学んでみたが、その時に陶芸が楽しいと思えた。「ものづくり」ということで、生活に密着したものを作りたいと思った。アートのような陶芸作品も多くあるが、「人に使ってもらってなんぼ!」と考え、民藝作品が特徴である益子を選んだ。高校時代一人で益子に何度も通い、師匠に弟子入りを志願した。弟子の期間は本当に辛く何度も辞めようと思ったが、8年間の修業を耐え抜いた。「職人」と言われることもあるが、「職人」は技術のプロフェッショナル。そうではなく自分は「作家」。考案して、形を作り、釉薬をつけ、窯焚きをするという工程をすべて行う。それが「作家」。いつも焼き上がりをイメージして作陶する。これからもより多くの方々に「器」を楽しんでいただきたい。



IMG_0882.JPG 直接、お世話になった方々に恩返しをすることは難しいが、因島という大きな枠で考え、陶芸という技術を使って貢献していけたらと思う。先日、中庄で陶芸教室を開き、約50人が集まってくれた。多くの方に喜んでもらえるなら、こういったこともやっていきたい。ボランティアという形だったが、自分が得ることも多く充実した時間が過ごせた。
 今やりたいことは、「因島クラフトフェア」。他の作家仲間にも参加してもらい「物」と「食」、「作品」と「地元の特産品」でコラボレーションし、多くの方々に楽しんでもらえる様な形にしたい。
 工房に来られる方は「因島は素敵なところだね」と言う。島外から来たからこそ分かる島の素晴らしさを地元の方々に提案し、各方面に発信出来たらと思う。自分と同じように、島を訪れた人たちが少しでも島を好きになってくれたら嬉しい。

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iturn01.png   所報INNOSHIMA   2012年12月号