台湾ナビからフェリー受注 内海造船、海外向けフェリー2件目【海事プレス-9/10】

■「海事プレスONLINE」2021年9月10日(金)に、内海造船についての記事が掲載されています。

 内海造船は9日、台湾船社の台湾ナビゲーションから600人乗りフェリー1隻を受注した。内海造船は豊富な国内向けフェリーの建造で培ったノウハウを生かして海外向けフェリー市場の開拓を進めており、今回は来年10月就航予定のサモア共和国向けフェリーに次いで2隻目の海外フェリーとなる。新造船は瀬戸田工場での建造が想定され、2023年後半に竣工予定。約2年分以上の手持ち工事にめどをつけている。

 建造契約の調印式は9日11時(日本時間)にウェブ形式で実施された。台湾の現地では台湾ナビゲーションの幹部が出席し、劉会長が契約書類に調印した。台湾ナビゲーションはバルカーを中心に運航する台湾船社で、日本の造船所での中型バルカーの建造実績も多いが、内海造船と台湾ナビゲーションは今回が初取引となる。
 今回建造されるフェリーは高雄港/馬公港(澎湖島)航路に就航中の“TAI HWA(臺華)”(1989年林兼造船建造)の代替計画として台湾交通部が運航社を公募し、今年7月に交通部と台湾ナビゲーションの間で運航契約を締結。その後、建造造船所の選定が進められた。コロナ禍のため調印だけでなく、商談自体もすべてリモートで実施し、受注にこぎつけた。
 内海造船は小型から大型までのフェリーやRORO船を主力製品の1つとする造船所で、国内向けのフェリーやRORO船の豊富な建造実績がある。こうした豊富なノウハウを活かして海外向けのフェリーにも取り組んでおり、昨年12月にサモア共和国向けに全長約46m級の貨客船を日本政府のODA(政府開発援助)として受注。内海造船として初の海外向けフェリーの受注を決めた。国内向けのフェリーに加えて、アジアを中心とした海外向けのフェリーもニーズや状況に応じて並行して検討を進めていく方針のようだ。
 今回受注した台湾ナビゲーション向けの新造フェリーは、乗客1人当たりのスペースを十分にとることで、快適性を向上したのが特徴の1つだ。客室はVIPクラス、ファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスに分かれた個室80部屋(計300人)と、ビジネスクラス、エコノミークラスに分かれた全席リクライニングシート(計300人)で構成され、快適性とプライバシー保護に配慮した。また、パブリックスペースにはレストランやサロンなどが配備され、約5時間の快適な船旅を実現するゆとりある空間を乗客に提供する。環境面では、現在の就航船と比べて燃料消費量の大幅な削減が見込まれ、温室効果ガス(GHG)削減に寄与する。
【新造船の主要目】
全長120m未満、幅21m、船籍港:高雄、船級CR、旅客定員600人、車両積載能力:大型バス4台、乗用車82台、コンテナ10TEU

■フェリーの輸出案件が増加

 国内造船所ではここ数年、アジア諸国向けの新造フェリーの輸出案件の受注実績が増えている。台湾向けでは、三浦造船所が今年、台湾の連江県向けの全長100m級フェリーを受注した実績がある。台湾以外では、東南アジアのフィリピンやインドネシアのフェリー会社が日本の複数の造船所で相次いで新造整備を進めてきた。
 アジア諸国では、多数の内航フェリーが運航されており、これらはかつて日本国内で運航されていたフェリーを中古買船して改造されたものが多く、これまでは日本の中古フェリーが重宝されてきた。ただ、船齢の若いフェリーが市場に出回りにくくなったことや、諸外国での安全志向への高まりから、中古買船ではなく新造船への志向も強くなっている。中国や韓国の内航フェリーはここ数年、自国造船所での建造が大半だが、このほかのアジア諸外国は、日本の造船所の建造船を中古買船して使っていた実績もあり、日本の造船所で建造したいという意向も多いようだ。

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